Rain of…… 8:衛 「あにぃ、ランニングしにいこうッ!」
ボクは少ししめったフリースジャンバーを手で触りながら、濡れ具合をちょっと確認しながら言ったんだ。 「ちょ、やめてよあにぃ……。恥ずかしいよ……」
ホントにあにぃ、ボクのおでこに手を当てて、自分のおでこの温度と比べてるんだもん。今度はボクがびっくりしちゃった……。 そうなんです。今日は雨が降ってるんだ。……でも、ほんの小雨なんだよ? 冬もそろそろ本番に近づいてきて、ちょうどそれをボクたちに教えてくれるみたいに、ここ一週間、なかなか晴れが続かなくて、それで今日はパラパラ雨が降ってるんだ。でもまだギリギリ傘はいらないぐらいで、今日あにぃのお家にくるまでにも、傘を差さずに自転車に乗ってる人とか、みたんだよ? そういうことも全部、ぜぇんぶ話したんだけど、あにぃったらね……。 「なんで今日の、今なんだよ?やめておこう?」 って言うんだ。いつもなら、あにぃはちょっと迷ってから、それでもニコッて笑って、「いいよ、じゃあいこっか」って言ってくれるんだぁ♡その時の笑顔が、またカッコよくて……♡ でも今日のあにぃ、なんだか違う……。いつもより服装が乱れてたり、ちょっと髪の毛がぼさぼさだったりするせいもあるかもしれないけど……それより、あにぃの目が……ちょっと違う気がするんだ……。 「なんでさー、いこうよぉ!」 ボク、なんだか久しぶりに駄々をこねちゃった……。いつもはこんな風に頼まないのに……。 ちょっと今の言い方はまずかったかなぁ……って思ってたけど、次のあにぃの言葉で、ボクもちょっと……ね……。 「あのな衛。お前今日ちょっとおかしいぞ?大体なんでこんな雨の日なんだよ?」
おかしい……?あにぃに、おかしいって言われた……?
「変な妹は……いらないよね……?」
ボクは……あにぃから差し伸べられた手を思いっきり跳ね除けて。 今日の学校での話なんだ……。 休み時間からもう雨が降ってて、いつも外で遊んでるボクも「今日はさすがに無理かなぁ……」って、教室で女の子達とおしゃべりしてたんだ。で、ちょっと窓の外からグランドを見てみたんだ。どうなってるのかな……って。でも、そしたらなんと、男の子達、サッカーやってるんだよ!雨はそんなにひどくなかったけど、それでもグランドはベチャベチャみたいで、女の子達で「なんでこんな雨なのにやってるんだろうねー」って話してたの。 その時はそれで終わったんだけど……それでもボク、なんでサッカーなんかしてたのか、すごく気になって、思い切って男の子の一人に聞いてみたの 。そしたらね……。 「そんなの、好きに決まってるからだろ。雨だろうが関係ないって」 その言葉を聞いたらね……なんだかすごく不思議な気分になって………。それでも一番初めに頭に浮かんだのはあにぃだったの。あにぃ……。あにぃはどうなんだろうなぁ……って……。 そしたらなんでか、『今日は外であにぃと遊ばなきゃ』って思って、学校が終わったらすぐあにぃの家に行ったんだ……。 あの子達がサッカーが好きなように、ボクも体を動かすのが好きだから……雨だからすごく持て余してる感じがしてたんだ……。でも、男の子の言葉を聞いたら、何かはじけるような感じがして……『こうしたいッ!』って思って、変な駄々こねたりして……。 「ボクって……やな子だなぁ……」 知りたかったんだと思う、ボクは。ボクは、あにぃが大好きだから、雨でもあにぃと外で遊べる。でもあにぃは……?あにぃはボクと雨でも外で遊べる?あにぃは、ボクのこと………。
気が付けば今までマウンテンバイクでもランニングでも来たことのないようなところまで走ってきていました……。うぅん、もう歩いてるのかな……。 |